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解散から清算決了まで

解散から清算決了登記を終えて会社をたたむまでにはいくつかやることがあり、時期なども決まっています。

ここでは、株式会社を例として、実際に行なわれることが多い、株主総会で解散決議からスタートして清算決了に至る手続きを中心に説明します。

その1 「解散」

1. 解散決議

解散を株主総会で決議する場合は、特別決議という決議にて決定します。この決議は、「発行済株式総数の過半数以上の株式を有する株主が出席して、その議決権の3分の2以上によって決議する」 というものです。大部分の株式を所有しているオーナー経営者の場合は、経営者の一存で解散の決議をすることができますが、そうでない場合は経営者の一存でというわけにはいきません。

2. 解散の効果

株式会社が解散すると、会社はその目的である営業活動ができなくなり、合併の場合を除き、会社は解散後もその財産の整理を行なう範囲内で法人格を有することになります。

つまり、営業目的ではなく、ただの清算実務を終わらせるために存在することになるので、営業活動を前提とするような行為や清算の目的に反するような行為も行うことができなくなります。

そして営業活動のために必要な会社の役員である代表取締役、取締役は存在意義を失い 、清算事務を行う責任者である清算人が選ばれて、清算の実務を行ないます(ただし代表取締役などがそのまま清算人になる場合が多いです)。

さらに従業員も清算実務に関わる事がなければ、自動的に職を失うことになります。

そして解散による解雇の場合は、解散の決議に異議を申し立てる、といった手続をとることができない事になっています。

3. 解散登記

会社の解散を決定した場合は、本店の所在地では2週間以内、支店の所在地では3週間以内に解散の登記をしなくてはなりません。

株主総会で解散の決議をした場合は、株主総会議事録を添付して申請書を法務局に提出します。官公庁の許認可が必要な場合は、許可証または認証の謄本も添付します。その他、解散事由によって添付する書類は変わってきます。

登記申請にかかる登録免許税は3万円(支店所在地では9,000円)です。

4. 清算人の就任登記

会社を解散したといっても、日常の営業活動等を終わらせただけにすぎません。

その後に財産の処分、債務の整理、法人税等の申告などといったいわゆる清算業務が残っています。そしてその清算事務を行う人のことを清算人と言いますが、この清算人を決定して登記しなければなりません。

清算人の決定は、解散と同時に行いますから、清算人の就任の登記も会社の解散の登記と同時に申請します。なお清算人の登記も会社の解散の登記も、申請人は清算人の代表者が行ないます。代表取締役ではありません。

その2 「清算」

解散、清算人就任の登記が終わってから実際の清算の手続に入るわけですが、株式会社の清算には通常清算と特別清算という手続があります。

通常清算とは、言葉どおりですが通常の清算実務のやり方です。これに対して、特別清算というのは債務超過で、債務の返済ができないような場合、通常清算だ と不正が行なわれそうだといった特別な場合に通常の清算の代わりに行う手続です。ここでは通常清算について説明します。

1.会社財産の調査

清算人のまずやるべきこととして、会社財産を調査し把握する作業があります。

実際に現時点で会社の財産の状況はどうなのかということを調査し、財産目録及び貸借対照表を作成します。

2. 株主総会(調査報告、承認)

清算人は遅滞なく株主総会を招集して、会社の財産の調査報告をするとともに、資産評価に関する書類の承認を得ることになります。

ただし、この時貸借対照表によって債務超過になる事が発覚すると特別清算の手続きに移ります。

3. 債権者に対する公告

会社債権者に対して2ヶ月以上で定める一定期間内に「会社を解散しましたので、債権がある方は一定期間内に申し出てください。申出が無い場合は、清算から外します」という意味の文章を公告しなければならないことになっています。

公告は、官報で行いますが、この公告は清算人の就任の日から2ヶ月以内に1回以上することになっています。

さらに、公告とは別に「知れたる債権者」に対しては、個別に「債権があれば申し出なさい」という催告をします。「知れたる債権者」の意味は「官報公告前にすでに債権があるということを申し出ていた者です。

期間中に申出が無かった債権者の取り扱いですが、清算からは外されることになります。後で申出があったときは、残っている財産の範囲内で弁済をすることになります。

4. 債務の弁済(債務が存在する場合)

債務がある場合は、債務の弁済を行います。ただし、清算手続きにおいては債務の弁済も一定のルールに従わなければなりません。

このルールというのは「債権者に対する債権申出の期限が終了するまでは債務を弁済してはならない」というルールです。つまり、公告をする際に定めた債権申出の期間中は、債務を弁済してはならないということになっています。

債権申出期間が満了したら債務の弁済を開始します。

5. 従業員の退職、事務の決了、債権の取立て

債務を弁済したり、その他の清算手続きを行うのと同時に、従業員を雇っておれば、従業員を退職させたり、事務処理を終了させたり、債権があれば回収したりといった事を一つ一つ行います。

このような手続きをスムーズに完了させる事ができると、トラブルなく会社をたたむことができます。

6. 残余財産の分配

財産を処分し、債務の弁済が終了したときに財産が残っている場合は、株主に財産を分配します。残余財産の分配に関する優先株や劣後株が持株数に応じて分配されます。

分配できるのは、清算所得にかかる法人税等を差し引いた後の金額になります。

7. 清算所得にかかわる確定申告等

残余財産が確定したときは、その日から一ヶ月以内または残余財産の最後の分配日の前日までに、清算所得にかかわる申告を行います。

8. 清算決了の登記

全ての清算手続きが終了したら、最後に清算人は清算が終わったという登記(清算決了)の登記を行います。

手続きとしては、全ての清算手続きが終了したら、清算人は清算に関する決算報告書を作成し、株主総会を開催し、その承認を得ます。

そして、承認を得たらその承認の日から、本店所在地では2週間以内、支店所在地では3週間以内に「清算決了の登記」を行います。申請は清算人が行います。

この登記申請の際の添付書類は「株主総会議事録」と「決算報告書」です。登録免許税は2,000円となります。

無事に清算決了の登記が終わると、法人格が消滅します。すなわち人間にたとえると死亡に相当することになります。

ここまで行ってようやく株式会社をたたむ手続きが完了することになります。

 

以上清算についてやるべきことを記載いたしましたが、実際には債務があまりなく、従業員もあまりいないような場合は上記した全ての手続きを行うわけではなく、比較的簡単に終わります。

 

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